サージェリーファースト法について
当院はサージェリーファースト法の手術、管理に習熟しています。
安全な手術、安定した予後のために術前・術後評価を行います。患者さんに検査結果を説明し、不安に伴うストレスを軽減できるようにしています。
- CTによる骨切り部の評価(神経, 血管の走行、骨厚み)
- 顎関節症状の評価(症状が強い場合はIVROを選択できます)
- 術前検査の結果
- 術式の選択
- 手術後の機能回復の評価(定期的に精密触覚機能検査を行う)
サージェリーファースト法による顎矯正手術
Surgery First Approach
Surgery First Approach
当院はサージェリーファースト法の手術、管理に習熟しています。
安全な手術、安定した予後のために術前・術後評価を行います。患者さんに検査結果を説明し、不安に伴うストレスを軽減できるようにしています。
評価の一部(CTによる骨切り部の評価)
術後の腫れを抑制したり、リンパ球の減少を抑制する方法があります
(ステロイド術前投与の利点:研究成果はアメリカ口腔顎顔面外科学会雑誌に掲載, 2017年)。
超音波骨切削器具を導入して、安全で精度の高い手術を行っています。
超音波器具は低侵襲な手術を行うために必要です。従来の機器での手術と比較して、より精度の高い手術を行うことが可能になりました。機能的で安定した咬み合わせを得ることにつながります。
「親知らず」の抜歯や小臼歯の便宜抜歯も顎矯正手術と同時に行うことができます。
術前に抜歯する必要はありません。手術の回数を減らすことが患者さんの体力的・経済的負担軽減になると考えています。
左図上図は下顎枝矢状分割術と同時に「親知らず」の抜歯を行っている写真です。完全埋伏、半埋伏のどちらでも術中に抜歯します。切開線や骨切りに工夫が必要ですが、顎矯正手術の質には影響しません。白点線内が「親知らず」です。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)の治療としての顎矯正手術
保存治療としてのCPAPや口腔内装置が奏功しない方に検討します。
Phase 1と呼ばれる鼻や喉の手術で効果が不十分な場合に行われます。当院では専門の医療機関と連携して治療を進めます。
Phase 2の治療としてオトガイ形成術と上下顎前方移動術があります。
いずれも気道を拡げるための手術です。上下顎前方移動術では、術後の咬み合わせを安定させることも重要ですので、矯正歯科と連携して治療を進めます(術後の歯列矯正)。睡眠時無呼吸は早期の症状改善が求められますので、サージェリーファーストの恩恵は大きいと言えます。
術後の咬み合わせの管理に注意しています。
矯正歯科からの依頼内容に基づいて、手術中の咬合を決定しています(スプリント)。術後の矯正治療がスムーズに進むように丁寧に管理します。スプリントの扱い方や口腔清掃は、手術後すぐに患者さんに指導します。1-2日で、患者さん自身でゴム牽引できるようになりますので、早期退院が可能です。食事や面会、電話などの際にはスプリントやゴムを外すことができます。
手術翌日から軟らかい食事(フルーツやヨーグルトなども付きます)が摂れます。我々の研究成果に基づいて術後の栄養指導を行っています。ストレスにともなう下痢を予防し、咬合管理と「口から食べること」を両立して、術後回復を実感できるようにしています。経管栄養は行っていません。
口腔外科の立場から見たサージェリーファーストケースの印象
~従来法(保険)と比較して~
サージェリーファースト法による顎矯正手術 Q&A
顎矯正手術について患者様から以下のような質問を受けます。
予定手術ですので、術前・術後はどのようなことが予想されるかを把握した上で、仕事や学校のスケジュールを調整されると思います。
虻川東嗣(あぶかわ はるつぎ)
口腔外科専門医・指導医
国際口腔顎顔面外科専門医