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サージェリーファースト法による顎変形症治療

Surgery First Approach

(公社)日本口腔外科学会認定「口腔外科専門医」による診療
サージェリーファースト法による顎変形症治療|あぶかわ歯科・口腔外科 – ときわ台駅徒歩2分

Surgery First Approach

サージェリーファースト法による顎変形症治療

サージェリーファースト法には
  • 咬み合わせにともなう顔の美的不調和をすぐに改善できる。
  • 治療期間が短い。
という大きなメリットがあります。当院では「一般的な方法」と「サージェリーファースト法」の両方についてご説明し、患者様が選択できるようにしています。受け口、顔の非対称、前歯が出ている、などでお悩みの方の診察をいたします。なお、手術治療の適応になるかは、口腔外科専門医が診察をしたうえで判断させていただいております。

サージェリーファースト法について

当院はサージェリーファースト法の手術・管理に習熟し、質の高い治療の提供に努めています。
安全な手術、安定した予後のために術前・術後評価を行います。患者さんに検査結果を説明し、不安に伴うストレスを軽減できるようにしています。

  • CTによる骨切り部の評価(神経, 血管の走行、骨の厚み)
  • 顎関節症状の評価(症状が強い場合は顎関節に優しい術式を選択できます)
  • 術前検査の結果の説明(血液、心電図、呼吸機能検査など、全身状態を把握)
  • 術式の選択
  • 手術後の機能回復や合併症の評価

評価の一部(CTによる骨切り部の評価)

評価の一部(CTによる骨切り部の評価)

術後の精密触覚機能検査
術後の機能回復を評価
術後の精密触覚機能検査

研究成果に基づいた治療の提供

術後の腫れを抑制したり、免疫の低下を抑制する方法があります。
(ステロイド術前投与の利点:研究成果はアメリカ口腔顎顔面外科学会雑誌に掲載, 2017年)。

術後の腫れを抑制したり、リンパ球の減少を抑制する方法があります
術後の腫れを抑制したり、リンパ球の減少を抑制する方法があります

「親知らず」の抜歯や小臼歯の便宜抜歯も顎矯正手術と同時に行えます。
手術回数が少なくなるように配慮しています。萌出していても、埋伏していても術中に抜歯することができます。

親知らずの抜歯

左図上図は下顎枝矢状分割術と同時に「親知らず」の抜歯を行っている写真です。完全埋伏、半埋伏のどちらでも術中に抜歯します。切開線や骨切りに工夫が必要ですが、顎矯正手術の質には影響しません。白点線内が「親知らず」
(2022年日本口腔外科学会学術大会で技術報告)

超音波骨切削器具を導入して、安全で精度の高い手術を行っています。

親知らずの抜歯

超音波器具は低侵襲な手術を行うために用います。従来の機器での手術と比較して、より精度の高い手術を行うことが可能になりました。機能的で安定した咬み合わせを得ることにつながります。

術後の咬み合わせの管理とQOLを両立しています。
矯正歯科からの依頼内容に基づいて、手術中の咬合を決定しています(スプリント)。術後の矯正治療がスムーズに進むように丁寧に管理します。スプリントの扱い方や口腔清掃は、手術後すぐに指導します。1-2日で、患者さん自身で咬み合わせを管理できるようになりますので、早期退院が可能です。食事や面会、電話などの際にはスプリントやゴムを外すことができます。

術後の咬み合わせの管理に注意しています

手術翌日から軟らかい食事(フルーツやヨーグルトなども付きます)が摂れます。
我々の研究成果に基づいて術後の栄養指導を行っています。ストレスにともなう下痢を予防し、咬合管理と「口から食べること」を両立して、術後回復を実感できるようにしています。経管栄養は行っていません。
(2019年日本口腔外科学会学術大会で研究報告)

サージェリーファースト法の利点と欠点

サージェリーファースト法の利点

  • 治療期間が短い。
  • 顔の美的不調和をすぐに改善できる。
  • 手術を行う時期を患者さんが決められるため、治療のタイミングを逃さない。
  • 術後矯正の進行が速い(手術後に骨代謝が活発化することが知られている)。
  • 術後矯正にマウスピース矯正が適応できるケースがある。

サージェリーファースト法の欠点

  • 術後の咬合管理(油断すると簡単に咬合が偏位するので、十分な治療経験が必要)。
  • 治療費が高額(保険適応でないため)。

サージェリーファースト法による顎変形症治療 Q&A

顎矯正手術について患者様から以下のような質問を受けます。
予定手術ですので、術前・術後はどのようなことが予想されるかを把握した上で、仕事や学校のスケジュールを調整されると思います。

手術までの流れは?

口腔外科を最初に受診する場合もあれば、矯正歯科を最初に受診する場合もあるでしょう。
いずれの場合も両科を受診する必要があります。当院を最初に受診し、顎矯正治療の適応があると診断した場合は、連携矯正歯科を受診して診察を受けていただきます。その後は以下の流れになります。

  • 手術日の決定
  • 術前検査や入院の申し込み(2時間程度)
  • 入院
  • 手術
  • 退院(手術翌日)
  • 術後の通院(退院直後は週に1回程度)
いつから働けるのか?

社会復帰するには体重の維持が必要です。
術後の経口摂取量が低下する原因として、以下の要因があります。

  • 知覚神経麻痺
    (下唇、オトガイ部皮膚、口腔粘膜)
  • 開口障害
  • 創部痛
  • 食欲の低下

これらの症状が改善するには2週間程度はかかります。したがって、退院すれば働けますが、術前と同じようにとなると2週間程度かかることが予想されます。前歯部部分骨切り術などでは、1や2は限定的ですので、より早い社会復帰が可能と思われます。

いつもの食事が制限されるのは
どのくらいの期間か?

創部は完全に縫い合わせた閉鎖創となりますので、手術翌日から経口摂取できます。当院では術後の止血を補助する吸引ドレーンを手術翌日に抜去し、積極的に経口摂取を開始しています。しかし下顎枝矢状分割術では下唇、オトガイ部、一部の唇側口腔粘膜の知覚異常が生じていますし、Le-fort Ⅰ型骨切り術や上顎前歯部部分骨切り術では口蓋の前方部分の知覚異常が生じており、注意が必要です。加えて強い開口障害が生じます。普段と同じ食事ができるようになるには、2週間以上かかると思います。

顎間ゴムを装着する期間は?

術後数日の入院期間を経て退院しても、新しい咬み合わせの維持が必要です。そのために顎間ゴムを装着する場合があります。矯正歯科から提供された「スプリント」で咬み合わせを安定させます。口腔外科担当医が定期的にチェックします。約1か月後、術後矯正が開始されますが、矯正医が診察するまでは口腔外科医のチェックが必要です。

入院してから退院までの流れは(術後のケア)?

<入院・手術前日>
通常は手術前日の入院となります。入院時のオリエンテーションや担当医の回診があります。夕食は常食です。

<手術室から病棟へ帰室>
口の中の吸引チューブによる口腔乾燥、酸素マスク、腕の点滴カテーテル、尿道カテーテルなど、不快な状態と思います。帰室後4時間程度を目安に、意識がしっかりしたら飲水指導を行い、尿道カテーテルを抜去、酸素マスクも終了します。

<手術翌日>
ドレーンと呼ばれる吸引チューブを抜去します。その後、お口からの食事を開始します。スープやとろみのある食事から提供します。少量しか食べられなくても問題ありません。手術の傷口は縫い合わせていますので、食べ物が入り込むことはありません。スポンジや歯ブラシを使って口腔ケアを開始していただきます。顎間固定は行いません。

歯磨きセット

<術後2日>
手術の影響で口が開きにくくなりますが、希望に応じて、お粥やきざみ食など、より日常に近い食事を提供します。食事、歯磨きのあとはスプリントを装着していただき、新しい咬み合わせに慣れていただきます。

スプリント
スプリント

<術後3日>
術後の状態への理解も深まり退院できます。手術中に装着したスクリューを除去します。除去は1-2分で簡単に終わります。サージェリーファースト法では、咬み合わせが不安定な場合も多いので、手術後の正しい咬み合わせに誘導する装置を用いる場合があります。

術後3日

虻川東嗣(あぶかわ はるつぎ)
(公社)日本口腔外科学会認定「口腔外科専門医」
国際口腔顎顔面外科専門医(FIBCSOMS)